ここ金澤では、
「不味い、悪い、高いの3拍子揃ったお店を探す方が難しい」
と言う方もいらっしゃるくらい、外食文化が盛んです。
その中でも頭ひとつ出て流行ってるお店もあるんですよね。
それは
「エクスペリエンス(体験)」をお客様に提供できるお店」だと思います
「エクスペリエンス」って聞くと、ディズニーとかイメージしちゃう人も多いと思うのですが、
「ちょっとしたこと」でいいと思うんです。
みんなやってないから、この「ちょっとしたこと」で差が出ちゃうんですね。
「あ〜、こういうのが気持ちよくて、このお店みんな来ちゃうんだろうな〜」
と思った出来事に先日遭遇したので、それを書きますね
注、今日は長編です。
僕、下手なりに料理をするのですが、カレーを作ってたらあることに気づきまして
「玉ねぎが無い」
僕の中で玉ねぎなしのカレーってありえないので、エプロンつけたまま近所のスーパーに行ったのです。
そしたら20分前に閉店時間だったんですね。泣
雪がちらつく極寒の中、玉ねぎを買いに来てスーパーマーケットのシャッター前で立ち尽くす中年男性の僕です。
エプロン姿の僕です。
料理の戦意は喪失し、腹が減ってるので、繁華街をウロウロです。
「さまよう中年」です
で、こじんまりとしたカウンターがあるカフェダイニングを見つけたので、「ここでいいか」と・・・
カレーもありそうですし
入ってダウンジャケットを脱ぐと、スタッフがおしぼり持ってきてこう訊くわけです
「どこかのお店の方ですか?」
美人風味なお姉さんスタッフ(仮名)からの羞恥プレイですね
そりゃそうです。繁華街の夜に、僕エプロンつけてるんで・・・
事の経緯を説明すると
今度は奥のキッチンで聞いてた陽気でかわいい風味なシェフ(仮名)が現れて
「じゃ〜、玉ねぎ持ってく?いっぱいあるから」
「笑!いやいや、いーですよ。そんなお店のものですし」と僕
「いっぱいあるから、あげる。持ってっていいよ、それで続き作って」とシェフ
と、このくだりのやり取りが3回くらい続いたんです。
で、中年の僕が押し切り、ここでごはんを食べることになりました。
昭和世代の方しかわからないと思いますが、
なんというかこのやり取り、ドラマ「ビーチボーイズ」に出演していた稲森いずみさんみたいな雰囲気でしたね。サバサバっとしてて
今考えたら、本気で帰って欲しかったのかもしれません。あらゆる意味で・・・
注文した「しいたけのウニソース焼き(これ美味しかったです!)」的なものを食べてると、
20代半ばの男性が入店してきまして、僕の横の席に座りました
結構酔っ払ってるようで、僕を見るなり
「お兄さん、なんでエプロンしてんの?おしゃれやね」
と、羞恥プレイパート2をいただきまして
本当に酒くさい若者だったのですが、
彼もここのお客様である。
やはりここは、中年男性の余裕をかましてやろうと思いまして
「しいたけのウニソース、美味しいから食べる?」
と切り返してやりました
するとなんということでしょう!
このパーフェクトな対応と味に感動した酒くさい若者から、
「このお兄さんにビール!お金ここ置いとくね」
という、僕を気遣う美しいワードを引き出したわけです
「中年の、中年による、中年の切り返し」の勝利です!
ビールご馳走してくれた彼はいつの間にか居なくなりまして(後で外で粗相していたことがわかった)
ご馳走していただいたビールを空けて
赤ワインを注文したんですね
すると、
ワイングラスにこれでもか!ってほどなみなみにワインが注がれておりまして
「これ、多くないっすか?」と僕
「いや!さっきのお客様(若者)のせいでご迷惑おかけしたんで」と、これまた稲森いずみ風味な気持ちいい対応
玉ねぎ持ってく?(商売抜きのコミュニケーション)
しいたけのウニソース、美味しいから食べる?(客が客を大事にする)
このお兄さんにビール!お金ここ置いとくね(客が客を大事にする)
いや!さっきのお客様(若者)のせいでご迷惑おかけしたんで(気遣い)
「ちょっとしたこと」でいいと思うんです。ちょっとしたことでエクスペリエンスが・・・
村田