贈与税の課税リスクのない特定医療法人への移行とは

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出資持分がない医療法人は、退社時に「出資持分の払戻請求」は発生しません。

そのため、医療法人経営の安定性と継続性が確保され、もちろん出資持分に課税されることに頭を悩ますこともありません。

持分ありの医療法人 → 持分なしの医療法人 への移行の必要が生じた場合、まずは贈与税の課税リスクのない「特定医療法人」への移行を考えてみられてはいかがでしょうか?

 

特定医療法人とは?

①租税特別措置法に基づく財団又は持分の定めのない社団の医療法人であって、その事業が医療の普及及び向上、社会福 祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁長官の承認を受けたものである。

②法人税において19%(通常は 25.5%)の軽減税率が適用される。

 

特定医療法人の承認基準とは?

①財団又は持分の定めのない社団の医療法人であること。

②理事・監事・評議員その他役員等のそれぞれに占める親族等の割合がいずれも3分の1以下であること。

③設立者、役員等、社員又はこれらの親族等に対し、特別の利益を与えないこと。

④寄付行為・定款に、解散に際して残余財産が国、地方公共団体又は他の医療法人(財団たる医療法人又は社団たる医療法人で持分の定 めがないものに限る)に帰属する旨の定めがあること。

⑤法令に違反する事実、その帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装して記録又は記載している事実その他公益に反する事 実がないこと。

⑥公益の増進に著しく寄与すること。

  • 社会保険診療に係る収入金額(公的な健康診査を含む)の合計額が全収入の8割を超えること。
  • 自費患者に対し請求する金額は、社会保険診療報酬と同一の基準により計算されるもの。
  • 医療診療収入は、医師、看護師等の給与、医療提供に要する費用等患者のために直接必要な経費の額に100分の150を 乗じた額の範囲内であること。

⑦役職員一人につき年間の給与総額が、3,600万円を超え ないこと。

⑧医療施設の規模が告示で定める基準に適合すること。

  • 40床以上(専ら皮膚泌尿器、眼科、整形外科、耳鼻いんこう科又は歯科の診療を行う病院にあっては、30床以上)
  • 救急告示病院
  • 救急診療所である旨を告示された診療所であって15床以上を有すること。

⑨各医療機関ごとに、特別の療養環境に係る病床数が当該医療施設の有する病床数の100分の30以下であること。

 

以上

 

いかがでしょうか。特に②、③、⑥、⑦、⑧、⑨に関しては、「現実的には基準要件は満たせない(又はデメリットだ)」と思われる方も多いのではないでしょうか。

 

次回からは、要件を満たせない場合の移行方法について書いていこうと思います。

 

 

※写真は再生医療に関するセミナーに参加した時の写真です。

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