贈与税を払って、出資持分なしの医療法人に移行する場合

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昨日のblog(http://monk-inc.jp/贈与税の課税リスクのない特定医療法人への移行)で、特定医療法人の要件定義を書きました。

この要件を満たせない時にとる方法のうち、「贈与税を払って、出資持分なしの医療法人に移行する場合」を、厚労省発表のケーススタディを基に説明したいと思います。

①贈与税を納付して移行する場合

役員の親族割合を守ることは出来ないが、出資持分払戻請求と相続税のリスクを回避するために、あえて、贈与税を支払って出資持分のない医療法人への転換を図ろうという法人もあります。

 

②贈与税の算出方法

その贈与をした者の各々から財産を取得したものとみなして算出した贈与税額の合計額が医療法人の納付すべき贈与税額となりますので、以下のような計算となります。贈与税の計算例(出資持分の相続税財産基本通達による評価額が1億円の場合)ある医療法人で二人の出資者がおり、贈与税を払っても出資持分のない医療法人に移行したいと言っています。そこで、贈与税を計算すると、以下のようになります。(贈与税率はH27年以降のものを適用)

国税庁HP贈与税について(https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm

 

 

A さん 出資持分相続税評価額 9,000 万円

(9,000 万円-110 万円)×55%-400万円=4489万円(イ)

B さん 出資持分相続税評価額 1,000 万円

(1,000 万円-110 万円)×40%-125 万円=231万円(ロ)

納付すべき贈与税額 (イ)+(ロ)=4720万円

 

要件を満たさず、贈与税を払って出資持分のない医療法人へ移行する場合B さんへの払戻が生じた場合、医療法人から1,000 万円の払戻となりますが、贈与税であれば231 万円で済むこととなります。A さんに相続が発生した場合、A さんの親族から払戻のリスクが生じますが、それを未然に防ぐことが出来ます。

 

4720万円のお金・・・なかなか進んで払おうとは思えないですよね。

では、このまま移行せず、出資持分あり医療法人を継続した場合に起こりうる問題を、次回ご案内したいと思います。

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